自吸ポンプ分解整備記録|塗装設備の安定稼働を支えるメンテナンスとは(福島県いわき市)

塗装ブースの自吸式ポンプとは?

塗装ブースにおける自吸式ポンプは、塗装工程で発生するミストや粉塵を効率的に除去し、作業環境を清潔に保つ重要な装置です。今回対象となったのは、W4.0Mのターボ水洗ブースに設置された80A×2.2kWの自給式ポンプで、日常の運転負荷が高く、定期的な分解点検と清掃が不可欠です。特に自吸式ポンプは水を自己吸引する構造上、異物の蓄積や逆流防止機能の劣化がトラブルの原因となります。

定期的なメンテナンスを怠ると、塗装ムラの原因や排気性能の低下、さらには火災リスクにもつながるため、今回のようなプロによる分解清掃と部品交換が極めて重要です。

ポンプと配管の分解・剥離清掃の詳細

今回のメンテナンスでは、ポンプ本体と接続配管の完全分解および剥離清掃を実施しました。作業では内部に蓄積した塗料カスやスラッジ、スケールを手作業と高圧洗浄で除去。特に流路内の堆積物は循環不良を引き起こし、ポンプモーターへの負荷が高まるため、丁寧にブラッシングと薬品処理を行いました。

配管部分は一見すると問題がなさそうでも、内部には長年の蓄積物が固着しているケースが多いため、今回も全周にわたり分解→目視確認→洗浄→再組立を実施。結果として、ポンプの水圧と流量が正常値に回復し、作業環境の安全性も向上しました。

吸込チェッキ弁(逆止弁)の交換と点検

ポンプの安定稼働を支える重要な部品の一つが、**吸込チェッキ弁(逆止弁)**です。この部品は、ポンプ停止時の逆流を防止する役割を果たしていますが、劣化やゴミの噛み込みによって機能が低下すると、配管内に水が戻り、再起動時に空運転やキャビテーションを引き起こす危険性があります。

今回の点検では、旧チェッキ弁に腐食と作動不良が見られたため、新品に交換を実施。適合サイズのステンレス製チェッキ弁を選定し、シール部も併せて交換しました。これにより、水回りの逆流リスクを最小限に抑え、日常の安定運転が期待されます。

担当者所感

今回のメンテナンスで改めて実感したのは、「外からは見えない劣化が内部に潜んでいる」という現場のリアルです。一見正常に稼働しているように見えても、分解してみるとスラッジや塗料の堆積がかなり進行しており、放置すれば重大な故障に発展する可能性がありました。

また、チェッキ弁のような小さな部品一つでシステム全体の信頼性が左右されるという点でも、予防保全の重要性を再認識しました。これからも定期的な点検とプロの手によるメンテナンスを通じて、お客様の現場を「止めない」ことに貢献してまいります。

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