【塗装工場見学レポート】技術×設備の最前線を体感!

このたび、福島県いわき市にあるお取引先企業を見学させていただきました。自動車部品の塗装を手がける同工場では、効率的かつ環境に配慮した設備が導入されており、現場の工夫と技術力を肌で感じることができました。

今回は、主に「塗装ブース」「焼付乾燥炉」、そして「乾式塗装ブース」についてご紹介します。

塗装ブース:水と風を活用した環境配慮型の設備

塗装ブースでは、コンベアに吊り下げられた部品が自動で搬送され、作業者が塗装を実施していく流れとなっていました。

塗装中に発生するオーバースプレー(塗装ミスト)は、水と攪拌されることで凝集処理され、溜まったものは定期的に廃棄されています。この水処理システムにより、空間内のミスト拡散を防ぎ、作業環境をクリーンに保つ工夫がなされています。

また、ブース上部には羽根車(ファン)が設置されており、ミストや揮発成分を吸引してダクトに排気。空気の流れがしっかりと制御されており、塗装品質と作業環境の両立を実現していました。

焼付乾燥炉:温度と風を制御し、塗装品質を安定化

塗装後の部品は、コンベアラインを通じて焼付乾燥炉へと搬送されます。ここでは、塗膜を安定的に乾燥・硬化させるために、適切な温度と時間で処理が行われています。

注目すべきは、炉内に設置された循環ファン。このファンが炉内の温度と風の流れを均一に保つよう常時運転しており、部品ごとの乾燥ムラを防止。高品質な塗装仕上がりを支える重要な役割を果たしているとのことでした。

乾式塗装ブース:フィルター式のクリーン排気システム

さらに、同工場には乾式塗装ブースも導入されています。このブースでは、塗料ミストを専用フィルターで捕集・ろ過する方式が採用されており、フィルター背面に設置された排気ファンが常に空気を引き込むことで、作業環境の清浄化が図られています。

乾式のメリットとして、水の使用が不要なためメンテナンスの簡易化や設備の省スペース化が挙げられ、現場の運用に応じた柔軟な設計がなされていることが分かりました。

見学を終えて

今回の見学を通して、お取引先企業様の塗装ラインは「環境負荷の低減」「作業安全」「品質安定」すべてにおいて高い水準でバランスが取れていると強く感じました。

私たちメンテナンス技術者としては、こうした現場の取り組みを理解することで、より的確な設備保守や改善提案につなげることができます。今後もこうした見学を積極的に行い、現場で活かせる知識と視点を深めていきたいと思います。

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