バーナー更新工事の背景と目的
今回対応したのは、塗装ブースの水切り炉に使用されていた旧型バーナー「EXG-5」の更新工事です。水切り炉は塗装直後の水分除去に不可欠な工程であり、炉内温度の安定供給が製品品質に直結します。旧バーナーの経年劣化により点火不良や燃焼ムラが発生し、安定した加熱が困難な状態となっていました。安全性・エネルギー効率・メンテナンス性の観点から、最新のガンタイプバーナーAG-5SLへ交換することが決定されました。
バーナー撤去作業とAG-5SLの新規取付け
まずは既設のEXG-5バーナーを安全に撤去するため、電源・ガス配線の離線作業を丁寧に実施。次に、**AG-5SL(最大出力58kW/LPG仕様)**を新たに設置しました。このバーナーはウルトラビジョンによる高感度火炎検知や、圧力計・ガス圧力低スイッチなどの保安機能が搭載されており、安全面と操作性が格段に向上しています。
配管・配線工事では、一次側電源から制御盤(BC-R25C2J0500)への結線、およびガス配管の接続を確実に施工。全閉モータ仕様(40W)で塗装ブース内の塵や塗料ミストにも強く、過酷な環境下でも安定稼働が見込まれます。




試運転調整とインターロックテスト
施工完了後、試運転・燃焼調整・インターロック確認作業を実施しました。点火から燃焼までのシーケンスを通じ、センサー・圧力スイッチ・火炎検知など各保護機能が正しく作動するかを綿密に検証。特に火炎検知センサーの感度とガス圧の挙動を慎重に確認し、運用中の異常検知機能に問題がないことを確認しました。
また、排気ファンとの連動制御確認も行い、ブース全体のエアフローが適正に維持されていることを確認。燃焼状態に応じて、出力制御(ON-OFF方式)が適正に動作することを記録し、調整完了となりました。
ガス漏れ確認と最終安全チェック
全工程の最後に、ガス漏れ検査を実施。ガス系統の接続部、バーナー本体、制御盤とのインターフェース部分に対して、専用検知器による確認を行いました。その結果、全箇所においてガス漏れは一切確認されず、安全な運用開始に向けての全条件をクリアしました。これにより、設備責任者様にも安心してご使用いただける状態となっています。


担当者所感
今回の工事では、旧型バーナーから最新型AG-5SLへの更新により、燃焼効率・安全性・操作性が大幅に向上しました。特に火炎検知やインターロック制御の精度が高く、今後のトラブル予防にもつながると実感しています。また、ON-OFF制御ながらも十分な出力制御性を備えており、塗装ブースの工程における熱供給の安定性も期待できます。
現場では他の機器(排気ファン等)との連携も視野に入れて調整を行ったため、システム全体としてのバランスも良好です。次回以降の点検では、ガス圧の経年変化や電装系の接点状態を重点的に確認し、長期安定稼働を支えていきたいと考えています。
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