固定炉の異常検知~応急対応のポイントと注意点(千葉県佐倉市)

緊急対応:固定炉の異常調査と修繕対応

今回の対応は、製造ラインの稼働に直結する固定炉の異常に関する緊急出動から始まりました。排気能力の低下や異音などの報告を受け、現地にて即座に調査を実施。点検の結果、循環ファンおよび排気ファンに粉体塗装の付着による回転抵抗の増加が確認されました。これによりモータの負荷が高まり、結果的に全体の排気効率を著しく低下させていたと推定されます。

このような固定炉のトラブルは、生産性だけでなく作業環境の安全性にも関わります。異常兆候が出た際には、迅速な一次対応と原因特定が極めて重要であることを、改めて実感しました。

循環ファンモータの分解・清掃作業

循環ファンは炉内の温度を均一に保つために欠かせない重要部品です。今回のメンテナンスでは、ファンカバーおよびモータを分解し、内部に堆積した粉体塗料や焼き付き汚れを手作業と専用洗浄液で丁寧に除去しました。

清掃前には、軸受け部の摩耗や異音も確認されていましたが、清掃・グリスアップ後には振動・温度ともに安定値へ回復。特に焼き付きの兆候が見られたベアリングに関しては、必要に応じて予防的な交換も視野に入れた対応を行いました。これにより、今後の突発的な停止リスクを低減することが可能になります。

排気ファンモータの分解・清掃作業

排気ファンモータは塗装ブースにおいて揮発成分や過剰ミストを外部へ排出する役割を担っており、ライン稼働の要とも言える設備です。長期使用により羽根に粉体塗装の厚い付着層が形成され、ファンバランスが大きく崩れていたため、分解後に高圧洗浄と手作業で徹底除去しました。

さらに、モータ内部の冷却フィン部分には微細な塗装ミストの堆積があり、冷却性能の著しい低下も確認。こちらもエアブローとブラシ洗浄を併用することで、冷却効率を回復させました。整備後は、ファン回転時の電流値が約12%低減し、明らかな負荷軽減効果が得られました。

担当者所感

今回のメンテナンスは、事後保全から予防保全への転換を強く意識するきっかけとなりました。緊急対応から始まった案件ではありますが、定期点検では見つからない内部堆積やファンバランスの異常が見つかり、事後的な清掃により大きな事故を未然に防ぐことができました。

塗装ブースや固定炉の排気設備は、日々の稼働で少しずつ汚れが蓄積し、異常が顕在化する頃にはすでに大きな負荷がかかっているケースが多いです。今後も「止めない工場づくり」のために、定期的な予防整備をお客様に提案していきたいと考えています。

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