工場の安定稼働と高品質な塗装工程を支えるために不可欠な「塗装ブース排気ファン」および「熱風乾燥炉循環ファンモータ」のメンテナンスを実施しました。本記事では、実施内容の詳細をプロの視点からレポートし、今後の設備保全の参考としていただければと思います。
熱風乾燥炉の循環ファンモータ交換工事(W4.0M固定型)
今回のメンテナンスでは、W4.0M型の固定式熱風乾燥炉に搭載されていた0.4kWの循環ファンモータ1台を新規に交換取付いたしました。羽根車については既存部品を再利用する形をとり、モータ単体の交換に留まりました。
熱風乾燥炉は常時高温環境下で稼働するため、モータ内部に熱がこもりやすく、劣化が早まるリスクがあります。今回のように異音や発熱がなくとも、稼働時間や設置年数を基にした定期交換は非常に有効です。交換後の試運転では、振動・温度・電流値すべて正常範囲内を確認し、安定運転を確認しました。
左側塗装ブース排気ファン羽根車交換と清掃・補修作業
左側の塗装ブースに設置された右回り5.5kW排気ファンについて、羽根車の交換作業を実施しました。既存の羽根車を取り外し、準備していた予備品と交換することで、ダウンタイムを最小限に抑えながらの効率的な対応が可能となりました。
交換にあたっては、ケーシング内部および蓋部分にこびりついた塗料や粉塵の除去も同時に実施。これにより風量の低下やバランス不良による異常振動の防止につながります。また、蓋部分には再塗装を施し、耐腐食性と美観を確保しました。防爆環境での作業となるため、安全管理も徹底して実施しました。




右側塗装ブース ターボファンモータ・羽根車の取外し
右側ブースに搭載されていた5.5kWのターボファンモータと羽根車の取り外しを実施しました。こちらは後述するモータ修理に向けての準備工程となります。
取り外し作業では、まず電源遮断・ロックアウト処理を確実に行い、回転体・軸周りの状態をチェック。長年の使用により、羽根車には粉塵や塗料の固着が見られましたが、破損や歪みは確認されず再利用の可能性が残る状態でした。ファン軸・軸受け部にも若干の摩耗が確認され、今後の保全スケジュールに反映予定です。


5.5kWターボファンモータ(安全増防爆型)のメンテナンス修理
取り外した5.5kWの安全増防爆型モータについては、特殊仕様ゆえにそのまま廃棄ではなく、メンテナンス修理を行いました。以下の項目で対応しています。
- モータ分解および内部清掃
- 絶縁抵抗測定と異常診断
- ベアリング交換(旧品は異音・グリース劣化)
- 組立て後のバランス調整および試運転調整
- 外装部の防錆塗装仕上げ
防爆モータは高額なうえ、納期も長いため、メンテナンスによる再利用はコストメリットと設備稼働率向上の両面で有効です。試運転後の振動解析でも良好な結果を得ており、再使用可能と判断しました。
担当者所感
今回の作業を通じて感じたのは、予防保全の徹底が設備寿命と工場運用の安定性に直結するということです。特に排気ファン・モータ類は塗装工程における中枢機器であり、一部の異常でも品質不良やライン停止を引き起こします。
また、防爆仕様や特殊構造を有する機器では、修理と交換を組み合わせた柔軟な判断が重要です。今回のように「再利用可能な部品は使い、劣化部品のみを更新する」ことで、安全性・効率性・コストの最適化を実現しました。引き続き、現場の状況に即したきめ細やかな対応を心がけてまいります。
お問合せはこちら
塗装ブース、乾燥炉、コンベアなど、工業塗装設備に関するトラブルを解決します。異音や定期メンテナンスの実施など、少しでも気になる点がございましたら、まずは私たちにご連絡ください。