塗装ブースの排気ファンは、適切な換気と作業環境の安全性を確保するために重要な役割を果たします。
今回は水切り乾燥炉の熱風発生装置の循環ファン軸受け交換取付工事を実施しました。
本記事では、作業の詳細や注意点、メンテナンスの重要性について解説します。
作業概要
塗装ブースの排気ファンは、塗装時に発生するミストや揮発性有機化合物(VOC)を適切に排出するための設備です。
長期間の使用により、軸受け(ベアリング)やVベルトの摩耗が進み、ファンの性能低下や異音・振動の原因となることがあります。
今回は、水切り乾燥炉の熱風発生装置の循環ファンの軸受け(ピローブロック)交換取付工事を実施しました。
本工事の目的は、ファンの振動を抑え、熱風循環機能を最適な状態に保つことです。
具体的な作業内容は以下の通りです。
- 循環ファンユニットの分解作業
- 熱風発生機内部スクロールの清掃作業
- 羽根車の異常点検
- 軸受け(ピローブロック)の交換取付
- プーリーのアライメント調整とVベルト交換
- 試運転と最終調整
これらの作業を適切に実施することで、機械の寿命を延ばし、トラブルのリスクを大幅に低減できます。


施工のポイント
◇ 軸受け(ピローブロック)の交換
軸受けはファンの回転軸を支える重要な部品です。
劣化すると異音や過度な振動が発生し、最悪の場合、回転軸の焼き付きや破損につながります。
今回、2台の軸受けを新品に交換し、スムーズな回転を確保しました。
◇羽根車の異常点検
羽根車(インペラー)は塗装ミストやホコリが付着しやすく、バランスが崩れることで振動が発生することがあります。
今回は清掃とバランス確認を行い、問題のないことを確認しました。
◇Vベルトとプーリーの調整
Vベルトの張り(テンション)が不適切だと、動力伝達のロスやベルトの早期摩耗が発生します。
プーリーのアライメント調整とテンション調整を適切に行い、安定した駆動を実現しました。




試運転・最終調整
作業完了後は、試運転を行いファンの動作確認を実施しました。以下の点を重点的にチェックしました。
- 異音の有無(軸受け交換後のスムーズな回転を確認)
- 振動のチェック(バランス不良による振動がないか確認)
- 排気風量の適正化(Vベルトの調整後、風量が適正であることを確認)
試運転の結果、異常なしと判断し、工事は無事完了しました。
ファンの性能が回復し、安定した熱風循環が確保されました。
メンテナンスの重要性と今後の推奨点
塗装ブースの排気ファンは、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
特に以下のポイントを意識すると、設備の寿命を延ばし、安全性を確保できます。
- 軸受けの異音や過熱がないか、半年ごとに点検
- Vベルトの摩耗やテンションを定期的に調整
- 羽根車の汚れやバランスを年1回清掃・点検
これらを実施することで、設備のトラブルを未然に防ぎ、作業環境の品質を維持できます。
担当者所感
今回のメンテナンスでは、軸受けの劣化が進行していたため、早めの交換が正解でした。
もしこのまま使用を続けていた場合、軸受けの破損によるファンの停止や、異常振動による他の部品への悪影響が考えられました。
また、Vベルトのテンションがやや緩めになっていたため、動力伝達の効率が低下していた可能性があります。
今回の調整によって、風量の安定性が改善されたと感じています。
設備のトラブルは、突然発生するものではなく、小さな異常の積み重ねによって起こります。
定期的なメンテナンスの重要性を改めて実感した現場でした。
お問合せはこちら
塗装ブース、乾燥炉、コンベアなど、工業塗装設備に関するトラブルを解決します。異音や定期メンテナンスの実施など、少しでも気になる点がございましたら、まずは私たちにご連絡ください。