トロリーコンベアチェン交換の必要性と背景
塗装ブース内で使用されるトロリーコンベアチェンは、長期間の使用により摩耗・伸び・潤滑不良が発生し、搬送の不安定化やハンガー落下といった重大なトラブルの原因になります。特に排気ファンやブースの清浄性にも関わる要素であり、定期的なチェン交換は、安全性と塗装品質の確保に直結します。今回の工事では、2日間にわたり、既設部品の分解・清掃から新チェンの組立・投入、テークアップ調整まで、すべての工程を丁寧に実施しました。
1日目:ハンガー分解とレール内部の徹底洗浄
初日は、まず作業区域を保護する養生作業からスタート。その後、既設ハンガーを順次分解・取外し、チェンも分解しながら慎重に引き抜きました。特に重要だったのが、レール内部のワイヤー剥離清掃とシンナー洗浄。ここは塗膜や油分が蓄積しやすいため、専用の剥離剤とシンナーを使用し、ワイヤー掛け部を徹底的に洗浄。これにより、新チェンの滑らかな搬送動作を可能にします。レール内の汚れは搬送抵抗となり、モーターへの負荷や不具合の原因になるため、この工程は非常に重要です。




2日目:新チェンの組立と取付、精密なテークアップ調整
2日目は、レールの異常点検から開始。摩耗・変形・損傷の有無を点検し、異常がないことを確認した上で、新チェンを現場で組立て、慎重に投入・取付を行いました。チェンテンションの要であるテークアップ調整も、走行確認を繰り返しながらミリ単位で調整。既存のハンガーも新チェンにしっかりと取付け直し、全体の連動性と搬送バランスを確認しました。最終的に、試運転を実施し、スムーズな搬送と振動の無い安定稼働を確認。顧客にも立ち会っていただき、動作の安定性と安全性をご確認いただきました。


メンテナンス後の効果と今後の保守提案
今回の作業により、塗装ブース内の搬送効率が飛躍的に向上。レール内の摩擦や異音も解消し、排気ファンの負荷軽減と空調効率の改善にも寄与しています。チェンの潤滑状態も良好で、今後のメンテナンス間隔を延ばすことが期待できます。ただし、定期的なレール内洗浄とテンションチェックは継続的に行うべきであり、予防保全型の運用に移行することで設備寿命と安全性をより確実なものにできます。
担当者所感:現場対応と安全性のバランスが鍵
今回の作業では、搬送設備の停止時間を最小限に抑えると同時に、安全と品質の両立を追求しました。既設設備の分解から新設投入まで、全工程で「段取り」と「確認」を徹底。レール清掃やテンション調整といった一見地味な作業が、全体の仕上がりと動作安定性に直結することを再認識しました。作業完了後、現場の方から「音が静かになった」「動作が滑らか」といった声をいただき、大変励みになりました。
お問合せはこちら
塗装ブース、乾燥炉、コンベアなど、工業塗装設備に関するトラブルを解決します。異音や定期メンテナンスの実施など、少しでも気になる点がございましたら、まずは私たちにご連絡ください。