防爆型モータ修理のポイントとは?塗装ブース排気設備の保守事例(千葉県佐倉市)

塗装工程で使用される排気ファンは、可燃性ガスや塗料ミストが発生する過酷な環境下で稼働するため、防爆仕様モータの信頼性が極めて重要です。今回は5.5kWの安全増防爆型モータを搭載した塗装ブース排気ファンのメンテナンス修理を行いました。その作業内容とポイントをご紹介します。

防爆モータの重要性と故障の兆候

塗装ブース内は引火性溶剤や可燃性ガスが充満しやすく、防爆型のモータは火花の発生を防ぎ、爆発事故を未然に防ぐ安全装置として機能します。今回の5.5kWモータは「安全増防爆構造(Ex e)」仕様で、内部に火花を発生させず、外部の雰囲気に点火源を持ち込まない設計です。

故障の兆候としては、回転音の異常、温度上昇、振動の増大、絶縁抵抗の低下などがありました。特に、絶縁抵抗値が低下していたため、早急な分解点検と絶縁回復処置が必要となりました。

分解・点検の流れとメンテナンス内容

まずは外装の防爆構造を損なわないよう慎重にモータを分解。端子箱周りやケーブルグランドの気密状態を確認後、内部のコイルと絶縁材をチェックしました。コイルには塗装ミストの蓄積と湿気による軽度な腐食が見られ、絶縁抵抗値はメーカー基準を下回っていました。

洗浄後、特殊な絶縁強化剤を用いて絶縁再生を実施。また、軸受部には粉塵の混入があり、ベアリング交換も行いました。さらに、冷却ファンの羽根部には塗膜が堆積しており、振動の原因となっていたため、物理的除去とバランス調整を実施しました。

特殊仕様モータの対応と注意点

安全増防爆型モータは、一般モータと比較して分解・修理の自由度が制限されており、特定の作業は有資格者のみが対応可能です。また、部品交換や絶縁強化などの修理を実施した場合、必ず元の防爆性能が維持されていることを確認しなければなりません。

今回も修理後には、防爆構造の密閉性チェックと絶縁測定を再実施し、動作確認後、IEC規格に基づく絶縁耐圧試験を行いました。これにより、工場現場にて再稼働する前に安全性能の維持を担保しています。

担当者所感

今回は、塗装ブースという高リスク環境で稼働する防爆型モータの修理ということで、作業中も高い緊張感が伴いました。特に、構造を損なわずにメンテナンスを完了するためには、知識だけでなく現場経験と緻密な作業が求められます。安全性を第一に、今後のトラブル予防のためにも定期的な絶縁測定や振動解析を推奨します。設備の寿命延長と操業安定のために、適切な予防保全がいかに重要かを改めて感じた現場でした。

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