塗装ブースの心臓部とも言える排気ファン。今回は、11kWモーターと羽根車の交換メンテナンスを実施しました。排気性能の低下や異音があった場合、速やかな対応が重要です。
11kWターボファンモーターの交換作業
今回のメイン作業は、塗装ブース排気ファンに搭載された11kWのターボファンモーターの交換です。モーターは右回転タイプで、工業様が準備された予備品モーターを使用しました。取り外しには、既存のモーター配線の切り離し、シャフト接合部の取り外しなど、慎重な工程が必要です。新モーターの取付けにあたっては、芯出し調整や回転方向の確認を行い、適切な締結トルクで固定しました。これにより、回転不良や振動トラブルを防止し、長期安定稼働が見込まれます。


羽根車の脱着と予備品羽根車の取付け
羽根車は、モーターと同様に劣化や汚れが堆積しやすい部品です。今回は、予備品の羽根車を用意いただいていたため、既存の羽根車を取り外し、新品と交換しました。脱着には固着が見られたため、専用のプーラーを使用して安全に取り外しました。羽根車の取り付けでは、バランス確認と軸合わせが重要です。微細なズレでも振動源となるため、ミクロン単位の精度で合わせ込みを実施しました。これにより、風量の安定とファンノイズの軽減が期待されます。


ケーシング内部の清掃と蓋部分の塗装仕上げ
長年使用されたファンケーシング内部は、塗料ミストや粉塵による堆積物で著しく汚れていました。そのため、全内部を手作業で剥離清掃し、異物付着を徹底的に除去しました。特に蓋部分には錆や剥がれも見られたため、清掃後に耐熱塗料で再塗装を行い、美観と防錆性を回復しました。これにより、メンテナンス性と清掃性も向上しています。
モータ取付け部のタップ切り加工作業
予備品モーターは汎用品であったため、取付けフランジ部のタップ穴に一部加工が必要でした。現場にてタップ切り直しを行い、機械的強度と取付け精度を確保。タップの深さやピッチの整合性を確認し、確実な固定が可能な状態に仕上げました。これにより、モーター振動による緩みや異音のリスクを未然に防いでいます。


担当者所感
今回のメンテナンスは、設備稼働を止められない中での迅速な対応が求められた作業でした。羽根車の固着やモーターの芯出し調整など、現場対応力が試される場面も多くありましたが、結果として、設備の本来性能を取り戻すことができました。今後の予防保全に向けて、定期的な点検の重要性を再認識しました。
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