定期的な乾燥炉の点検は、突発的なトラブルを未然に防ぐための重要な工程です。
今回は、固定型乾燥炉における**熱風発生装置**の点検を実施し、複数の確認項目から設備の状態を総合的に評価しました。点検の詳細と、今後の対応についてご紹介します。
燃焼室・燃焼筒:おおむね健全、ただし堆積物に注意
燃焼室の仕切り板と燃焼筒については、目立った変形や破損は見られず、基本的には健全な状態でした。
一方、燃焼室内部には塗料の堆積物が認められ、一部に軽微な変形も確認されました。
この塗料堆積は、内部の温度ムラを引き起こす要因となり、熱効率の低下や局所的な金属疲労を促進する恐れがあります。
次回点検時にはクリーニングと追加調査を推奨いたします。


バーナー架台にひび割れを確認:早急な対策が必要
今回の点検で最も重要な異常は、バーナー架台におけるひび割れの確認です。
熱負荷や振動ストレスが蓄積し、溶接部や接合部に微細なクラックが発生している状態でした。
このまま放置すると、バーナー自体の支持力が低下し、安全性を損なう重大リスクとなります。
早急な溶接補修または部品交換が必要であり、現場には緊急対応を提案しました。


循環ファン:振動およびモーターの堆積物に注意
循環ファンに関しては、羽根車自体に異常は認められませんでしたが、運転時のわずかな振動が計測されました。
加えて、モーター本体に粉塵や塗料片の堆積が多く、放熱効率の低下が懸念されます。
今後、振動トレンドの継続監視と同時に、モーター冷却フィン部の清掃・点検を計画的に行うことが必要です。
循環ファンは炉内温度の均一化に直結する装置のため、保守は非常に重要です。


点検まとめと今後の対応方針
点検全体としては、構造的に深刻な破損は少なく、軽微な劣化や堆積物の除去を中心としたメンテナンスで対応可能なレベルでした。ただし、バーナー架台のひび割れについては別途優先対応が求められます。
今後は、点検周期の見直しや、**塗料堆積の事前防止策(フィルタリングや吸引装置の強化)**などを組み合わせることで、より安全・安定した運転が可能になると考えます。
担当者所感:トラブル一歩手前での発見が大きな成果
今回の点検では、ひび割れというリスク要素を事前に発見できたことが大きな成果です。
実際に炉が停止してからでは、生産影響や補修コストも大きくなってしまいます。
点検結果は細かい劣化の積み重ねでしたが、それが大きな事故に発展する前に対応できるかが保全の価値だと改めて実感しました。
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