乾燥炉や熱風発生装置は、精密な温度管理が求められる産業設備です。その中核を担う循環ファンの軸受けは、装置の効率や寿命に大きく影響します。
今回は、循環ファンの軸受け交換作業について詳細にご紹介します。
目次 Outline
循環ファン軸受け交換の重要性とは？
循環ファンは乾燥炉内部の熱風を均一に循環させる役割を果たします。長期間の使用で羽根のバランスが崩れたりベアリングの劣化が進むと、異音や振動が発生し、さらに負荷がかかるとモーター焼き付きファンの停止につながります。
ファンが正常に作動しないと炉内の温度にばらつきがおこり、製品に焼きムラが生じて不良品になるトラブルにつながります。定期的な循環ファンのメンテナンスは、これらのリスクを未然に防ぎ、装置の安定稼働を確保するために不可欠です。
実施した作業内容の詳細
1. 循環ファンユニットの分解作業
まず、循環ファンユニットを分解し、軸受けの状態を確認しました。
作業時には、安全確保のため電源を完全に遮断し、周囲の温度や湿度も考慮して作業環境を整えました。
2. 軸受けピローブロックの交換
劣化していたピローブロック（2台）を慎重に取り外し、新しい軸受けを正確な位置に取り付けました。
この際、軸の位置や回転軸の平行度を詳細に調整することで、後の振動や摩耗を防止しました。
3. Vベルトのテンション調整と既存部品の活用
既存のVベルトを再利用し、テンションを適切に調整しました。
過剰なテンションは軸受けの負担を増やすため、専用の計測器を使用して調整しました。
4. 異常点検と試運転立会い
最後に全体の異常点検を行い、試運転を通じて動作確認と微調整を実施しました。
試運転中には、温度、振動、音の変化を細かくモニタリングしました。
交換後の効果とお客様へのメリット
軸受け交換後、以下のような改善が見られました。
- ファンの回転が滑らかになり、異音や振動が解消。
- 熱風循環効率が向上し、装置全体のエネルギー効率が改善。
- 部品寿命の延長により、長期的なメンテナンスコストの削減が期待される。
これにより、乾燥工程の安定稼働が保証され、お客様の生産性向上に寄与しました。
担当者の所感
軸受けの摩耗は目に見えにくい部分ですが、放置すると重大なトラブルに発展します。
丁寧な作業と試運転時の細かい確認により、お客様からも「振動がなくなった」「安定して運転できる」とのお言葉をいただき、技術者冥利に尽きる瞬間でした。
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