製造現場や板金工場などで使用される塗装ブース排気ファンは、高効率な換気と粉塵除去を担う要となる装置です。今回は7.5kWおよび3.7kWのターボファンに対し、計画的なメンテナンス作業を実施しました。以下、作業内容と技術的ポイントを紹介します。
ターボファンメンテナンスの工程と重要性
排気効率と安全性の確保には、ターボファンの定期点検と内部メンテナンスが欠かせません。今回のメンテナンスでは、まず羽根車の脱着作業を行い、ケーシング内部と蓋部分に堆積した塗膜や汚れを完全に剥離・清掃しました。特にケーシング内部は塗料ミストによる堆積と腐食が見られたため、丁寧な手作業と薬剤処理を組み合わせて清掃を実施。
さらに、蓋部分については腐食進行の抑制も兼ねて塗装仕上げを施し、美観と耐久性を確保。試運転時には排気能力や振動、異音の有無を確認しながら、微調整を行いました。


羽根車のバランス調整と防錆対策
羽根車は排気性能に直結する重要部品です。今回は羽根車の剥離清掃を入念に行った後、回転時の振れを防ぐために機械掛けによるバランス修正を実施しました。これは回転軸への偏荷重を最小化するための精密な作業であり、振動や軸受への負担軽減に効果的です。
清掃後には、再腐食防止を目的として防錆塗装を施工。高耐久性のある防錆剤を使用し、使用環境に耐えうる仕上がりとしました。こうした羽根車へのメンテナンスは、長期的な安定稼働とエネルギー効率の向上に直結します。


発見された異常と今後の対応について
点検時に特筆すべきだったのは、ケーシング内部の腐食進行と、モーターベアリングからの異常音です。特にケーシング内部は肉厚が低下しており、現時点では稼働に問題はありませんが、次回点検時には補修または部品交換が必須と判断されます。
また、モーター部からの異常音に関しては、ベアリングの摩耗が進行している兆候です。早期対応しなければ故障に直結するリスクが高いため、至急の交換が必要です。設備の突発停止を防ぐためにも、予防保全の重要性を改めて認識させられたケースでした。


担当者所感:予防保全の価値を実感した案件
今回のメンテナンスでは、ファン性能の回復だけでなく、異常予兆の早期発見という重要な成果を得ることができました。現場での稼働環境を考慮すると、定期的な清掃と部品のバランス調整は、設備寿命の延長と安全性確保に直結します。
とりわけ、腐食進行やベアリング異常といったリスクを未然に把握できた点は、予防保全活動の意義を強く実感させられる結果でした。今後もこうしたメンテナンスの品質を継続的に高め、お客様の安定稼働に貢献してまいります。
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