塗装ブースの排気ファンは、作業環境の安全性と効率性を維持するために重要な設備です。今回、マイルドファン(右回り5.5kW×1基) のメンテナンスを実施しました。予備品の羽根車がないため、現地での剥離清掃を行い、異常点検や試運転調整まで丁寧に対応しました。
1.羽根車の脱着と剥離清掃
羽根車の汚れと塗料付着の影響
塗装ブースの排気ファンは、使用を続けることで羽根車に塗料ミストが付着し、回転バランスの崩れや風量低下 を引き起こします。特に、今回のファンは長期間清掃されておらず、付着物の厚みが1mm以上 となっていました。これは、モーター負荷の増大や振動の原因となるため、早急な清掃が必要でした。
剥離清掃の方法
通常であれば、予備の羽根車と交換 して作業効率を向上させますが、今回は予備がないため、現地での剥離清掃を実施しました。手順は以下の通りです。
- 羽根車の取り外し – ボルトや固定具を慎重に外し、羽根車をケーシングから取り出す。
- 付着物の剥離 – 専用の剥離剤を使用し、塗料ミストを軟化させた後、スクレーパーで除去。
- 仕上げ清掃 – 高圧洗浄機やブラシを使用し、細部の汚れを落とす。
- バランス調整 – 羽根車の重量バランスを確認し、偏りがないよう調整。
この作業により、風量低下や振動のリスクを低減し、排気効率を回復 させました。
2.異常点検作業とケーシング内部の清掃
異常点検の重要ポイント
ファンの異常点検では、以下の項目を重点的にチェックしました。
- モーターの振動・異音 – 軸受(ベアリング)の摩耗や、ファンバランスの崩れを確認。
- 電流値の測定 – 過負荷が発生していないかチェック。
- ケーシングの損傷確認 – 内部に亀裂や異物の詰まりがないか点検。
幸い、大きな異常は見つかりませんでしたが、モーターの振動が若干大きくなっていたため、次回点検時にベアリング交換を検討する ことを推奨しました。
ケーシング内部の剥離清掃
ファンケーシング内にも塗料ミストが堆積しており、このまま放置すると風量の低下や火災リスクが高まるため、剥離清掃を実施しました。専用の溶剤を使用し、付着物を軟化させた後、手作業と高圧洗浄で徹底的に除去しました。




3.電動機台板の清掃と塗装仕上げ
台板清掃の目的
電動機台板は、モーターを支える重要な部位ですが、長年の使用により油汚れや錆が発生しやすい箇所です。これを放置すると、モーターの振動増加や固定力低下につながる ため、清掃を実施しました。
清掃・塗装の手順
- 油汚れの除去 – 専用クリーナーで油分を除去。
- 錆の処理 – ワイヤーブラシやサンドペーパーで錆を落とす。
- 防錆塗装 – 下地処理後、耐熱性・耐久性の高い塗料で仕上げ塗装。
塗装を施すことで、今後の劣化を防ぎ、メンテナンス頻度を低減 できます。


4.試運転・調整と最終確認
試運転時のチェック項目
作業完了後、試運転を実施し、以下のポイントを確認しました。
- 回転のスムーズさ – 異音や振動がないか確認。
- 風量の回復 – メンテナンス前後の風量を比較し、正常な排気量を確保。
- モーター負荷の変化 – 電流値を測定し、負荷が適正範囲内であることを確認。
試運転の結果、風量は適正範囲まで回復し、モーターの負荷も正常範囲内 であることを確認しました。今後の安定稼働が期待できます。
担当者所感
今回のメンテナンスでは、予備の羽根車がない状況下で現地清掃を実施 し、確実な排気能力回復を目指しました。通常であれば交換作業が望ましいですが、清掃でも十分な効果を得られたと感じます。
また、モーターの振動が若干大きくなっていたため、次回のメンテナンス時にベアリング交換を検討する 必要があります。定期的な点検と適切なメンテナンスを実施することで、設備の長寿命化と安定稼働を維持できると改めて実感しました。今後も、計画的な予防保全を推奨 していきたいと思います。
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