「排気ファンは順調、ただしモーター清掃を要検討」固定型乾燥炉の排気系統を点検【設備保全事例】(埼玉県戸田市)

製造現場の安定稼働を支える固定型乾燥炉において、「排気ファン」は重要な役割を担っています。
今回は、排気系統に関わる点検を実施し、装置の健全性と潜在リスクを確認しました。
全体として良好な結果でしたが、モーターへの粉塵堆積という今後に向けた対応ポイントも明らかになりました。

排気ファン本体・羽根車・ダクトはすべて良好な状態を維持

点検対象である排気ファンの本体・羽根車・排気ダクトについては、すべて目立った損傷や変形はなく、非常に良好な状態でした。
運転時の異音や異常振動も確認されておらず、排気性能に問題はないと判断できます。

乾燥炉における排気ファンは、炉内の温度・湿度・ガス圧を安定制御する重要装置です。
この部分の安定稼働は、製品品質と作業環境の両方に直結します。
今後もこの状態を維持するために、半年〜1年周期の定期点検を継続して実施する必要があります。

モーター部に粉塵堆積あり:予防的な清掃を推奨

唯一の懸念点として、排気ファンモーター部にホコリの堆積が確認されました。
外観的には深刻なレベルではありませんが、粉塵がモーター冷却フィンに蓄積することで放熱性が低下し、モーター温度の上昇や絶縁劣化を引き起こすリスクがあります。

このような堆積は、塗装ラインや粉体処理工程を含む工場においては自然に起こり得る現象ですが、見逃すと突発的なモーター焼損の原因となります。
定期的な清掃スケジュールの組込みと、可能であればフィルター類の増設を推奨いたします。

総合評価:良好な状態だが、軽微な対応で信頼性アップ

全体の評価としては、排気ファン系統の状態は極めて良好であり、運転継続には問題なしと判断できます。
点検時のデータや外観記録も保管し、異常兆候がないことを明確に記録できたことは大きな成果です。

ただし、今回のモーター部の粉塵堆積のように、「機能上問題がなくても、将来的に劣化につながる要素」は、早期に対応しておくことが肝要です。
“壊れてから直す”のではなく、“壊れる前に対処する”、これが安定生産のカギを握ります。

担当者所感:現場が“良好”と言えるための裏付けが重要

「異常なし」という評価は、単なる視認結果ではなく、定量的な確認と長年の経験による比較検証があって初めて言えるものです。
今回の点検では、実測データと設備の外観状態から十分な根拠を持って「良好」と評価できました。

それと同時に、粉塵という静かに悪化していくリスク要素にも目を向け、今後も現場設備の「見えにくい不安」に先回りして対応していきたいと思います。

お問合せはこちら

塗装ブース、乾燥炉、コンベアなど、工業塗装設備に関するトラブルを解決します。異音や定期メンテナンスの実施など、少しでも気になる点がございましたら、まずは私たちにご連絡ください。

TOP