燃焼室内部の状態確認
塗装ブースの乾燥炉には、対象物の塗膜を効率よく硬化させるために熱風が必要です。その熱源となる燃焼室の内部確認は、メンテナンスにおいて最も重要な項目です。
内部にススや異物が付着すると燃焼効率が低下し、乾燥不良や燃料コスト増加を招くため、定期的な目視点検と清掃が不可欠です。今回は内部に著しい堆積物は見られませんでしたが、季節変動による燃焼条件の変化も加味し、次回点検時にはバーナー噴霧状態も合わせて確認を行う予定です。
循環ファンのVベルトと羽根車の状態
循環ファンは乾燥炉内の熱風を均一に循環させる役割を担っており、その動力はVベルトによってモーターから伝達されています。ベルトにたるみやひび割れがあるとスリップや断裂の原因となるため、張力と摩耗状態を丁寧に確認しました。
併せて羽根車には塗料ミスト由来の付着物が見受けられ、現時点でのバランス不良や異常振動は確認されませんでしたが、今後の堆積によるトラブルを未然に防ぐためにも、計画的な清掃が求められます。


軸受けグリスと振動異常の確認
ファン軸受けにおけるグリスの状態も確認し、グリス切れや変質による潤滑不足がないかを慎重に評価しました。異常音や振動については、手動でファンモーターを単体運転させ、共振の有無や軸方向のブレを点検。今回は問題ありませんでしたが、軸受けのグリスは時間とともに硬化や劣化を起こすため、メンテナンスサイクルの管理が重要です。
また、点検扉の開閉状態も良好で、安全な作業環境が確保されていることを確認しました。


担当者所感
今回の点検で大きな異常は見られなかったものの、循環ファン羽根車への塗料カス付着が確認されました。放置すれば風量低下、振動増加、最悪の場合は軸受け破損にもつながる恐れがあり、長期的には炉全体の運転効率や品質に悪影響を与える要因となり得ます。
定期点検だけでなく、使用頻度や環境に応じた清掃計画の見直しが必要です。製造ラインの安定稼働を支えるためにも、今後は“点検+予防保全”の観点で体制を強化していく所存です。
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