排気ファンのメンテナンスがなぜ必要か?
塗装ブースでは、有機溶剤や塗料ミストが大量に発生します。これらを効率よく排出するために不可欠なのが排気ファンです。特に軸流ファン(Φ600クラス)は、風量が大きく負荷も高いため、定期的なメンテナンスが求められます。
今回は、排気効率の低下が見られたため、羽根車の交換とケーシング内部の清掃を中心としたメンテナンスを実施しました。放置すれば風量低下や発火リスクにも繋がるため、予防保全としての対応が重要です。
羽根車交換作業|効率回復の鍵
今回交換した羽根車は新品への取り替え作業です。既設の羽根車は、塗料成分による固着と腐食が見られ、風量低下や振動の原因になっていました。新品の羽根車に交換することで、風量性能が約20%改善し、安定した運転が可能となりました。
脱着作業では、芯出しとバランス調整を丁寧に行い、振動対策を徹底しました。羽根車のコンディションは、排気ファン性能の中核を成すため、定期交換が推奨されます。




ケーシング内部の剥離清掃|蓄積汚れを徹底除去
羽根車交換にあわせて、ケーシング内部に付着した塗料ミストやスラッジの剥離清掃も実施しました。特にファンハウジングの内壁には、1〜2mm程度の厚みで塗膜成分が固着しており、エアフローの乱れや圧力損失の原因となっていました。
手工具と専用ケミカルを用いて、隅々まで丁寧に清掃を行い、仕上げに防錆剤を塗布しました。これにより、ファン内部の流体抵抗が軽減し、電力効率も向上しました。


異常点検と試運転調整|安心稼働を支える確認工程
作業完了後には、軸受部の異音・振動・温度上昇を確認し、問題がないことを確認。さらに電流値・風速を測定し、仕様通りの性能が出ているかをチェックしました。最終的にお客様と立ち合いのもと試運転調整を行い、風量・騒音・振動の全てが基準内であることを確認しました。異常点検と試運転は、施工の信頼性を担保する重要な工程です。
担当者所感
今回のメンテナンスでは、羽根車交換とケーシング清掃によって、排気性能の明確な改善が見られました。お客様も、塗装品質の安定や作業環境の改善を実感されていました。塗装ブースの排気系統は、見えにくい部分だからこそ後回しにされがちですが、定期的なメンテナンスこそが設備寿命と生産性を守る鍵です。現場の安全と品質を守るためにも、今後も計画的な整備を推奨してまいります。
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