塗装設備の定期点検を実施:全体構成と重要性
今回は、W3.0Mターボ水洗ブースを含む塗装設備一式の定期点検を行いました。対象設備は、給気装置や焼付熱風乾燥炉、研磨ブース、5t対応のZ型トロリーコンベヤなど多岐にわたり、工場の生産ラインを構成する中核的な存在です。これらの設備は日常的な塗装・乾燥・搬送作業を担っており、1つでも不調が起こればライン全体の停止につながるため、定期的な総合点検は不可欠です。
今回の点検では、外観チェック、駆動部の動作確認、異音・振動の測定に加え、各部品の摩耗状況を確認しました。長期使用による劣化が確認された箇所については、消耗品交換の提案も併せて行っています。


排気ファンのメンテナンスが塗装品質を左右する理由
塗装ブースにおける排気ファンは、塗料ミストや有機溶剤を迅速に排出するための心臓部です。排気能力が落ちると、塗装面へのミスト再付着、作業環境の悪化、さらには火災リスクの増大など、深刻なトラブルにつながりかねません。
今回はW3.0Mターボ水洗ブースの排気ファンに対して、羽根車の洗浄、モーター周辺の異常熱チェック、Vベルトの張り調整、軸受け部のグリスアップを実施。ファン周囲に蓄積した塗料カスも高圧洗浄で除去し、排気効率の回復を図りました。作業後の風量測定では、施工前と比べて15%以上の排気効率向上を確認できました。
バーナーオーバーホール:熱風乾燥炉の安定稼働に不可欠
塗装工程の中で高温乾燥を担う山形焼付熱風乾燥炉は、バーナーの安定燃焼が性能維持の鍵を握っています。今回のメンテナンスでは、バーナーのオーバーホールを実施。燃焼ヘッドのカーボン除去、電極のクリーニング、点火確認試験、燃料供給ラインのリーク点検など、火災防止と燃焼効率の最適化を目的に細部まで対応しました。
また、消耗が激しかったガスケットやノズル類を新品に交換。メンテナンス後の温度立ち上がり時間が平均7分短縮され、エネルギー効率の改善にも貢献しました。


トロリーコンベヤ&研磨ブースも念入りに点検
Z型5tトロリーコンベヤ(全長46,200㎜)は、重量物を搬送する重要設備です。点検ではチェーンの伸び、テンションの確認、各駆動部の摩耗チェックを実施。数箇所に摩耗が見られたため、今後の交換時期を記録し、次回メンテナンス時に計画的な部品交換を提案しました。
同時に、W3.3Mの研磨ブースでは、換気装置の吸引力、作業環境の粉塵濃度、フィルターの詰まり状況を確認。作業環境測定において基準値をクリアしていることを確認し、安心して作業が行える状態であることを報告しました。


担当者所感
塗装設備は、生産ラインの中でも特に過酷な条件下で稼働しています。そのため、定期的なプロによる点検・メンテナンスが設備の寿命を大きく左右します。今回のように、各ユニットを一括で診ることにより、故障の予兆を早期に把握し、無駄なダウンタイムを未然に防ぐことができます。
また、排気ファンやバーナーのように「目立たないが非常に重要」な部位こそ、定期的なケアが不可欠です。今後も、設備に合った最適な保守計画を提案し、お客様の安定操業に貢献していきたいと思います。
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