固定炉排気ファンVベルト交換作業の重要性
塗装ブースにおける排気ファンは、揮発性有機化合物(VOC)の排出や、塗装環境の安定化において非常に重要な役割を果たします。今回のメンテナンス対象は、固定炉に設置された2基の排気ファン。両機に共通して、Vベルトの劣化により駆動力の低下や異音が発生していたため、新品のVベルトへの交換作業を実施しました。
Vベルトの経年劣化は、最終的に異常振動や過負荷を引き起こす可能性があり、定期的な点検と交換が不可欠です。今回のように2基同時の作業により、設備の停止時間を最小限に抑える工夫も施しました。


テンション調整で性能を最大化|調整ミスが招くトラブルとは
Vベルトの交換後、最も重要なのがテンション(張力)の適正化です。テンションが緩すぎるとベルトが滑って動力伝達効率が落ち、逆に強すぎると軸受けやベアリングに過剰な負荷がかかり、早期の機械損傷につながります。
今回は専用のテンションゲージを使用し、メーカー推奨値に合わせて調整を実施。さらにファンの空転時間や駆動音の変化もチェックし、実機ベースでの最適化を図りました。テンションの微調整は経験がものをいう領域ですが、わずかな調整が長期稼働の安定性に大きな影響を与えます。




異常点検と試運転で見逃さない|プロの目によるリスク検知
Vベルトの交換やテンション調整後には、必ず異常点検を行います。今回は、回転部の偏心、異音、振動、温度上昇などを重点的にチェック。ベアリング部にはサーモグラフィーによる熱解析を実施し、温度異常の有無を確認しました。
特に塗装ブースのような環境下では粉塵の堆積や湿気による腐食なども考慮すべきリスクです。さらに、試運転中には風量や電流値をリアルタイムで監視し、通常運転時のベースラインと比較。わずかな違和感も見逃さず、長期稼働に向けた最終確認を行いました。
担当者所感
今回の作業では、見た目には分かりづらい「Vベルトのテンション調整」や「異常点検」の精度が、結果的に稼働の安定性を大きく左右することを再認識しました。特に塗装工程では、空調・排気のバランスが塗装品質に直結するため、排気ファンの健全性維持は極めて重要です。
お客様にも、機械的な安心だけでなく「塗装品質の安定」という形でメリットを実感していただける施工になったと感じております。今後も“壊れてから直す”ではなく、“壊れる前に守る”を意識した予防保全型メンテナンスを徹底してまいります。
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