水洗ブースのポンプが水を吸わない!? 原因調査の記録(東京都墨田区)

緊急対応:W2.0M水洗ブースポンプの吸水不良を調査

お客様より「右側ブースのポンプが水を吸い上げない」とのご連絡を受け、緊急対応を実施いたしました。今回はW2.0Mの水洗ブースに取り付けられているポンプの異常ということで、まず吸水系統の確認と電源系統のチェックを実施。外見上は異常が見られなかったため、ポンプを分解して内部点検に踏み込みました。

ポンプ内部ではスケールの付着やゴミの詰まりが見られたため、羽根の清掃および全体のメンテナンスを実施。それでもポンプ本体が正常に作動せず、最終的にポンプ本体のモーター部が故障していることが判明。残念ながら復旧は不可能で、後日交換対応とさせていただく結果となりました。

羽根車の清掃と内部メンテナンスの重要性

今回のケースでも特に目立ったのは、羽根車に付着したスラッジ(塗料ミストの沈殿物)による動作不良です。羽根が滑らかに回転しないことで吸水力が著しく低下し、ポンプの負荷が増加、結果としてモーターの焼損リスクが高まります。

通常、塗装ブースの排気・循環ポンプは高頻度で粉塵や塗料の飛散にさらされるため、定期的な羽根車の清掃・点検が長寿命化の鍵になります。ブース環境のメンテナンスが製品品質にも直結するため、使用頻度に応じた月次または週次点検の導入を推奨します。

W4.0Mブースポンプの異常音とバルブ故障

同時に点検したW4.0Mの塗装ブースでも、ポンプからの異常音が確認されました。こちらも同様にポンプの稼働チェックと電流値の測定を行った結果、ベアリング劣化とバルブの機構部損傷が原因であると判明。バルブ部分は金属疲労により亀裂が入り、圧力調整が不安定になっていた状態です。

これによりポンプ内圧が不安定になり、異音の発生と水流の不均一化を招いていたと考えられます。早急にバルブの交換とポンプ本体のオーバーホールを手配し、事後トラブルの防止に努めました。

担当者所感

今回の2件の対応を通じて、塗装ブースのポンプや排気ファンは「壊れてから直す」では遅いことを再認識しました。水洗ブースのポンプ故障は吸排気バランスの崩壊や作業環境の悪化、さらには塗装品質の不安定化にも直結します。

特に、モーター焼損やバルブ損傷のように経年劣化による部品故障は予兆をつかみにくく、定期的な点検・メンテナンスをルーティン化することでしか未然に防げません。今回は早期対応ができたものの、ポンプ交換など復旧に時間がかかるケースもあり、予備機や代替手段の検討も含めて保守体制の見直しが求められると感じました。

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