固定炉の性能維持には、ファンモータの定期的な点検と適切な交換が不可欠です。今回は0.4kWの循環ファンモータを交換・取付する工事を実施しました。以下、その作業内容と技術的ポイントについて詳しくご紹介します。
既設モータの劣化状態と交換判断
固定炉の循環ファンは、炉内の温度を均一に保つために常時運転される重要な機器です。今回交換対象となった0.4kWモータは、稼働開始から約10年が経過しており、ベアリングの異音や起動時のトルク低下が見られました。これらの兆候は、モータの内部摩耗や絶縁劣化の進行を示す典型的な症状であり、突発停止によるライン停止を防ぐためにも、計画的な交換が必要と判断しました。
羽根車は既存利用:バランス調整と精密取付が鍵
今回の工事では、羽根車は既存品を再利用しました。再利用にあたっては、羽根車のバランス状態、取付面の摩耗、キーの状態などを慎重に確認し、異常がないことを確認しました。既設羽根車は長年の運転による塗膜や粉塵の堆積があったため、脱脂洗浄およびバランス調整を実施。新設モータとの嵌合部は公差管理を徹底し、軸芯ずれのないようシャフト中心を高精度で合わせました。これにより、運転中の振動や異音の発生を防止し、長期安定運転に貢献します。


交換モータ取付と試運転調整
新たに取り付けた0.4kWモータは、同一スペック・同一フランジ形式のものを採用し、既設ベースにボルトオンで対応しました。取付面はケレン・塗装処理を施し、今後の腐食リスクを低減。カップリング締結後は軸芯調整を再確認し、試運転を実施しました。試運転では、回転音や振動、温度上昇などを確認し、すべて基準内であることを確認。運転開始から15分後には温度が安定し、問題なく循環が行われていることを確認しました。




担当者所感
今回の交換作業では、既設羽根車の再利用に伴うバランス管理と芯出し調整が作業の要となりました。安易に新品に交換するのではなく、状態を正確に判断し、必要な整備を施すことで、コストと作業時間を最適化できました。今後もモータやファン機構の状態監視を継続し、予防保全の観点から計画的な更新提案を行っていきたいと考えています。
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