ブース内部・渦巻室の分解剥離清掃で本来の吸引性能を回復
今回のメンテナンスでは、W4.0Mターボ水洗ブース内部および渦巻室の分解剥離清掃を実施しました。塗装ブース内では長期間使用により塗料ミストや粉塵が蓄積し、吸引効率や排気性能が著しく低下します。とくに渦巻室は空気の流れの要となる部分で、ここに堆積物が溜まるとターボファンの性能が十分に発揮されず、作業環境に悪影響を与えるリスクがあります。
今回の作業ではパネルを分解後、塗膜を手作業で剥離し、高圧洗浄で徹底的に清掃しました。その結果、吸引性能が明らかに改善され、ラインの稼働音も安定化しました。




エリミネーター・メンテナンスでミストの捕集効率を向上
エリミネーターは水洗ブースの核心部品であり、塗料ミストを確実に捕集する役割を担っています。ここに塗料や粉塵が付着すると、捕集効率の低下に加え、水の循環にも悪影響を与えます。今回のメンテナンスでは、各ユニットを取り外して塗膜剥離を行い、細部まで丁寧に洗浄・メンテナンスを実施。機能の回復はもちろん、長期的なメンテナンス間隔の延伸にもつながります。定期的な清掃がエリミネーターの寿命を延ばすだけでなく、塗装品質の安定にも大きく寄与します。
ブース後部扉・ウォーターカーテンの清掃と塗布作業
ブース後部のメンテナンス口扉も、塗料の飛散や水分により塗膜が堆積しやすい箇所です。今回は全体を剥離清掃し、内部パッキンや締め付け部の点検も同時に行いました。
併せて、ウォーターカーテンの清掃と塗料塗布を実施。カーテン表面は塗膜が厚く残っており、これを剥離した上で専用コーティング剤を再塗布しました。これにより塗料ミストの流動性が向上し、カーテンとしての役割を再び確実に果たせるようになります。
オーバーフロータンク・水槽内の汚泥除去で循環系をリフレッシュ
水洗ブースの循環水は、オーバーフロータンクや水槽に汚泥が堆積しやすく、放置すると悪臭や水質悪化の原因となります。今回の清掃では、オーバーフロータンク内の固着した汚泥を丁寧に除去し、水槽内の水も一度抜いた上で徹底洗浄しました。
併せて配管接続部やポンプフィルターの点検も行い、水の流れをスムーズに保つ状態にリセットしました。これによりブース全体の循環系が正常化し、作業環境の衛生維持にもつながります。
給気装置の内部清掃とフィルター交換でライン全体の空調バランスを最適化
焼付ラインの安定稼働には、給気装置の性能維持が欠かせません。今回は給気ボックス内部およびファンに付着した粉塵を除去し、フィルターも新しいものに交換。長期間使用されたフィルターは目詰まりを起こし、吸排気バランスを乱す原因になります。
内部の羽根車やファンモーターの清掃も行い、全体の風量バランスを調整しました。これにより、塗装ブース内の空気の流れが安定し、塗装品質と作業環境の両立が可能となります。
焼付塗装ラインコンベアの点検と簡易メンテで搬送トラブルを未然に防止
ライン全体の信頼性を確保するため、コンベア系の簡易点検も同時に実施。搬送チェーンのたわみ、グリス切れ、各部ローラーの動作確認を行いました。早期に異常を発見することで、ライン停止といった大きなトラブルを未然に防ぐことが可能です。
今回は特に異常は見られませんでしたが、ベアリング周りにはグリスを補充し、次回点検までの状態を安定化させました。予防保全の観点からも、ライン全体のチェックは非常に重要です。


担当者所感
今回の清掃メンテナンスでは、長年にわたって蓄積された汚れや塗膜を徹底的に除去し、水洗ブース全体をリフレッシュすることができました。エリミネーターやウォーターカーテンといった重要部品も復元し、吸引性能や水循環機能も改善。給気系統やコンベアに至るまでトータルでメンテナンスを行ったことで、ライン全体の信頼性向上に寄与できたと実感しています。今後も定期的なメンテナンスを通じて、安定した生産ラインの運用を支えていきたいと思います。
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